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【潰瘍性大腸炎の初期症状とは?】ブログで医師解説!

最近、日本でも急増している、潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)という病気をご存知でしょうか。

潰瘍性大腸炎は、その名の通り、大腸粘膜に潰瘍を作る、原因不明の難病です。
安倍首相が潰瘍性大腸炎を患っていて、長期政権を2回、退陣した理由になったのは有名ですよね。
免疫をめぐる環境の変化や食生活の欧米化などが原因で日本でも潰瘍性大腸炎は増加傾向になっています。
2016年の推計では、日本にいる潰瘍性大腸炎の患者さんの数は約16万人となっています。
実際、私が外来をしていても潰瘍性大腸炎の患者さんは増えているなというのは実感しています。

しかし、潰瘍性大腸炎のことは、まだまだ世間には認知されておらず「おならが良く出るんですけど、潰瘍性大腸炎ですか?」などという質問を受けることもよくあります。

今回のブログでは、潰瘍性大腸炎の誤解を解き、正しい情報を発信したいと思います。

それでは、どうぞ!

(本記事は消化器病専門医の中村孝彦医師が執筆しています)

「潰瘍性大腸炎は身近な病気になりつつあるのです!」


潰瘍性大腸炎の初期症状はおなら?医師がブログ解説!


「おならが良く出るんだけど、潰瘍性大腸炎なの?」
という質問を受けることが、しばしばありますが、これは誤解です。

潰瘍性大腸炎は、免疫システムが以上を起こし、自分の腸を敵として認識し抗体をつくって攻撃してしまい、大腸粘膜に潰瘍(かいよう)を形成する病気です。

潰瘍というのは胃潰瘍でイメージされるものと同じと考えて頂いてOKです。

実際の潰瘍性大腸炎の方の腸の画像をお見せします。

 

この画像の白い部分が全て潰瘍で大腸粘膜が障害されている状態です。

潰瘍性大腸炎の初期症状としては、下痢と血便になります。
下痢が起こる時に、腸蠕動(ちょう-ぜんどう)という腸の動きが活発になるので、その時におならが出やすくなるのは、あり得るかもしれませんが、典型的な症状ではありません。

症状が進行すると、下痢のや血便の回数が増えます。
1日に数回という方もいますが、10回以上の下痢や血便を起こす方もいます。
原因不明の下痢が続いている場合は、潰瘍性大腸炎の可能性があります。

さらに症状が悪化すると、発熱や腹痛をおこしたり、体重減少をおこしたりします。  

潰瘍性大腸炎の原因はストレス?


 

潰瘍性大腸炎の発症は10代の後半から30代といった若い人に多い傾向がありますが、50歳以上の方に見られることもあります。

難病と言われるだけあって、潰瘍性大腸炎の発症のメカニズムは完全にはわかっていません。
しかし、消化管のバリア機能の異常や大腸粘膜を攻撃する自己抗体の出現といった遺伝子的な要素に、腸内細菌叢(腸内フローラ)の変化や、食の欧米化(高脂質・高糖質)、さらに心理的なストレスが加わることによって発症すると考えられています。

実際、潰瘍性大腸炎の患者さんの症状は、ストレスがかかると悪化し、これは、私が実際に臨床現場で外来をしていても感じることです。 

潰瘍性大腸炎の診断は?


潰瘍性大腸炎の診断は、①下痢や血便などの症状、②内視鏡的診断、③組織診断、④感染症検査の4つの項目で総合的に診断します。

実際の外来での流れとしては、医師による詳細な問診や診察で①の症状を診断し、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で②の画像診断を行い、そのまま内視鏡から組織を取る器具を入れて(生検といいます)大腸粘膜から組織をとり③の組織診断を行います。

さらに、④の感染症検査も大腸内視鏡検査から入れた器具で大腸粘膜を採取し、それを感染症の培養検査に出します。

潰瘍性大腸炎には大きくわけて、①直腸炎型(腸の出口の直腸の粘膜だけが障害をうけている)、②左側結腸型(腸の半分の粘膜が障害をうけている)、③全大腸炎型(大腸全てが障害をうけている)の3つのタイプに分けて診断されます。

病変の範囲に応じてタイプ診断がされるわけですね。
もちろん、直腸だけ障害される直腸炎型より全大腸炎型の方が重症である傾向があります。

実際には排便回数や血便の程度、発熱や貧血の有無などによって、細かく重症度が診断されます。

潰瘍性大腸炎から大腸がんに癌化するってホント?


潰瘍性大腸炎が難病といわれる所以は、原因が完全には分かっておらず、基本的には完治を目指せる病気ではなく、寛解(かんかい)といって、症状がよくなることを目指す病気ということがあります。

また、潰瘍性大腸炎は、その主な症状が下痢や血便であることから、出血による血圧低下や、栄養の吸収障害によって、時に命に関わることもある病気です。
潰瘍性大腸炎がさらに厄介なのは、大腸癌になりやすくなることです。
これは、潰瘍性大腸炎による大腸粘膜の慢性炎症が発癌のリスクになると考えられます。

潰瘍性大腸炎を発症してから、20年たつと、通常の人の10倍以上も大腸癌になりやすくなることがわかっています。
また、潰瘍性大腸炎から発症する大腸癌は、大腸癌の中でも悪性の癌種のタイプが多いことがわかっており、予防のために大腸内視鏡検査を定期的に行うことが推奨されています。

定期的な大腸内視鏡検査を受けていて大腸癌を早期に発見できると、内視鏡手術で大腸を温存したまま切除できる報告も数多くなされており、やはり早期発見・早期治療が重要といえます。

潰瘍性大腸炎の治療と手術とは?


潰瘍性大腸炎の基本の治療は、内科的な薬物療法です。

潰瘍性大腸炎は自分の免疫システムが暴走し、自分の大腸を攻撃する抗体を出している病気なので薬物療法は、アミノサリチル酸製剤(5-ASA製剤)とステロイドという免疫を抑えるお薬を使います。

最近は、治療の選択肢が沢山でてきており、血球成分除去療法といって透析のような方法で、自分の大腸を攻撃する悪い抗体を除去したりする治療もあります。

内科的治療でコントロールできない、重症例に対する治療は外科手術になります。

ただし、潰瘍性大腸炎は、大腸全てに異常が起こっている病気になるため、外科手術は「大腸全摘」になります。

大腸全摘は、肛門だけをのこして大腸を全て切除し、小腸と残った肛門をつなげる手術をしますが、どうしても肛門の機能が低下するため、生活の質が著しく落ちる可能性がある治療となります。
そのため、下痢や血便といった症状があれば、なるべく早くクリニックを受診し、早期発見・早期治療を行い、内科的治療だけでコントロールできるのがベストといえます。

【 まとめ 】


いかがでしたでしょうか。

今回のブログでは潰瘍性大腸炎について解説しました。
「潰瘍性大腸炎って難病だから自分には関係ないよ」という方もおられるかもしれませんが、昨今のストレス社会、免疫が混乱した環境において潰瘍性大腸炎の罹患数は増加の一途をたどっています。
30年前と比べると、患者数はなんと7倍以上にもふえているのです。
特に若い方に多い病気であり、両親や祖父母に何も病気がなくても突然起こる病気であり、決して他人事ではありません。
下痢や血便などの症状があったら、ためらわずにクリニックを受診することが大切です。
堺なかむら総合クリニックの医師は、潰瘍性大腸炎の難病指定医です。症状などでお困りの方はお気軽にご相談ください。

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当院では「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」も行っているので、下剤を飲むのが苦手で大腸内視鏡検査を敬遠している方も是非当院までご相談ください。

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潰瘍性大腸炎のことを詳しくなかった方にとってこのブログが参考になれば幸いです。
「下痢や血便があればお気軽にご相談を」