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【癌の進行速度は1ヶ月でどれくらい?】胃がん・大腸癌・膵臓癌

ご自身や家族が癌と診断、もしくは癌を疑われている方へ。

治療が発達したとはいえ、まだまだ癌は命に関わる病気というイメージがありますし、診断はもちろん、疑われただけでもショックですよね。
癌といわれたら一刻も早く治療したいと思うのは、ごく自然なことだと思いますが、諸事情ですぐには治療が始められない方もおられるかと思います。

私、Dr. Takaも外来をしていると、そういった患者さんから、「癌の1ヶ月の進行速度はどのくらいですか?」や「年齢でスピードは違うんですか? まだ若いから早く進行するの?」などの質問を受けることがあります。

さて今回のブログでは、癌の1ヶ月の進行速度や、年齢による癌の進行スピードの違いなど、癌に関する気になる疑問について徹底解説したいと思います。

それでは早速どうぞ!
(本稿は、消化器病専門医の中村孝彦医師が執筆しています)

「癌が体の中にあるというだけで、嫌な気持ちになりますよね」


癌の進行速度は1ヶ月でどれくらい?胃がん・大腸癌・膵臓癌


癌を疑われたり、癌と診断された人は、もちろんショックを受けますし、落ち着かなくなる方も多いと思います。

がんは進行する病気というイメージがあるのが一般的なので、告知された後は、とにかくすぐ治療したい、という焦りの気持ちが生まれるのも自然なことだと思います。
しかし現実には、検査や結果説明の外来、治療の日程などの様々な要素で、癌と診断された後のすぐ翌日から治療、というわけにはいきません。

実際、胃がん・大腸癌・膵臓癌などの癌の進行速度は1か月でどのくらいなのでしょうか。
これを考える上では、そもそも癌の成り立ちを考える必要があります。

実は癌細胞というのは、細胞が新陳代謝する上で出てくる遺伝子エラーで出てくるため、健康な人でも毎日、癌細胞は出現しています。
しかし、それを自分の免疫細胞が排除することで癌が大きくなることを防いでいます。
その癌細胞と免疫細胞のパワーバランスが変わり、癌細胞の勢いが強くなると癌が大きくなります。
癌細胞は、細胞分裂を繰り返すことで大きくなり、細胞分裂が約30回になると、画像検査などで認識できる「早期がん」となり、この時の大きさは約7mmです。

初めて癌細胞が出現してからこの7mmという大きさになるまでは約10年の時間を要するといわれていますが、画像で認識できる「早期がん」となってからは、癌腫にもよりますが約3年で進行がん(臓器の筋層以上に進行した癌)、場合によっては末期がん(遠隔転移のある癌)となります。
さて、話は戻りますが、胃がん・大腸癌・膵臓癌などの癌の進行速度は1か月でどのくらいなのでしょうか。

これは、癌のステージによって答えは変わります。
しかし、概ね早期がんは「年単位で進行」進行がんは「半年単位で進行」末期がんは「月単位で進行」すると考えて頂けると分かりやすいかと思います。
つまり、1ヵ月での癌の進行速度は、「早期がんと進行がんでは、ほとんど変化がない」が、その一方「末期がんでは1か月でも進行しうる」というのが答えとなります。
そのため、早期がんと進行がんの治療の場合は月単位で治療が仮に遅れたとしても、ほとんど影響がないので過剰に焦る必要はないといえます。
一方で、末期がんの場合は月単位で進行するので、治療はもちろん、痛みのコントロールや介護などの周辺環境の整備は、早めに対応していった方が良いということになります。

癌の進行速度は年齢で違いはある?若い人の方が進行が早い?


胃がん・大腸癌・膵臓癌などの癌の進行速度は、年齢によって違いはあるのでしょうか。

例えば、70代のご高齢の方と30代の若年者だと、なんとなく30代の若者の方が癌の進行が速そう、というイメージを持たれている方は多いと思います。
なぜ、こういうイメージを持たれやすいのでしょうか。

解説します。

まず、悪性度の高い種類の癌が若い人に出来やすいということがあります。
例えば胃癌の例でいうと、「低分化腺がん」という種類の癌は例えば30代など若い人にできやすいのですが、この癌腫は進行も早く、転移もしやすい、すなわち悪性度の高い癌になります。

一方、70代など高齢の方には、「高分化腺がん」という比較的進行が遅い癌腫ができやすいという傾向にあります。
また、白血病などの血液癌も若い人に出来やすいという特徴がありますね。
このように年齢別に、できやすい癌腫が違うという特性があるため、若い人の方が癌の進行が速い、というイメージがあるわけですね。
もし、同じ癌腫で比較、たとえば30代の人にできた高分化腺がんと、70代の人にできた高分化腺がんを比較すると、これは基本的には同じ進行速度になります。

むしろ、同じ癌腫の場合だと、高齢の人の方が肺炎などで免疫が弱りやすいので進行スピードが速いケースもあると思われます。
もう一つ、若い人に進行した癌が見つかるイメージがある理由は、検診のシステムが影響していると考えられます。

癌全体の頻度で見てみると、やはり、年齢が上がれば上がるほど、癌になる頻度が上がります。
そのため、日本の検診システムは、基本的には40歳以上を対象に重点的に癌のスクリーニングを行うようになっています。

このシステムによって、30代以下の人はどうしても、医療的なチェックをうける頻度が下がります。
さらに、若い人は、他の病気でかかっているクリニック、いわゆる「かかりつけ医」を持っていないことが多く、わずかな異常を相談できる、あるいは医師が気付く機会が少ないといえます。
したがって、どうしても症状が出ない早期癌の状態では見つからず、症状が出てからの受診となり、見つかった時にはすでに「進行がん」で転移している、という状態になりやすいのです。

癌の進行速度を遅らせる・抑えることはできる?


癌の進行速度を遅らせる、進行を抑えることはできるのでしょうか。

一つは、皆さんご承知の通り、癌に対する治療、すなわち抗がん剤を使った化学療法や放射線治療がありますね。
化学療法や放射線治療は、癌が細胞分裂をおこして増殖するのを阻害したり、エラーを起こさせたりして癌の進行を抑える効果があることが証明されています。

最近では、免疫チェックポイント阻害薬という、自分の免疫細胞が癌細胞を攻撃するのを手助けする薬の登場で、治療成績は年々向上してきています。

では、癌に対して病院で行う治療以外に、自分自身で癌の進行を遅らせる上で気を付けることは何でしょうか。
この事を考える上で、逆にどうなると癌の進行速度が速くなるのか、を考えると分かりやすくなります。
実は、肺炎などの感染症にかかると癌の進行速度が速くなることが分かっています。
これは、感染症にかかると、自分の免疫細胞の力が、感染症にも割かれるので、癌への免疫力が落ちて、癌細胞の増殖のブレーキが外れるためと考えられています。
そのため、癌と診断された方は、感染症にかからないように手洗い・うがい・マスクなどを徹底するとともに、免疫力が落ちないように、早寝などの規則正しい生活を心がけるとよいでしょう。

また、家族などの同居者も、感染症を家に持ち込まないように、しっかりと手洗い・うがい・マスクなどを行い、同居者自身も感染症にかからないように注意した方がよいです。

胃がん・大腸癌・膵臓癌などの癌を効率的に予防するには?


がんを効率的に予防するためには、結論から申し上げますと、CT検査などの内臓の画像検査と、内視鏡検査を受けるのが最も効率的に予防できます。

CT検査は、胸腹部単純CT検査のことを指します。
CTとはコンピュータ断層診断装置の略で、体の外からX線をあてて、体の中を断面像として描写する検査のことで、胸から骨盤までを筒のような装置に入って検査します。

もちろん、胸から骨盤までしか撮影しないので、脳腫瘍や血液腫瘍、足の骨肉腫などは当然、写らないわですが、これらの癌は非常に珍しく、全体の癌の1%未満を占めるにすぎません。

CT検査にかかる時間は5分から10分程度、費用は3割負担で約5,000円で比較的、時間や経済的負担の少ない検査です。
非常に優れたCT検査なのですが、一つだけ弱点があり、それは、空気が入った消化管の中を調べるのは苦手という特性があります。
そのため、早期の胆嚢がんを見つけることはできるのですが、早期の大腸がんや胃がんを見つけるのは不可能なのです。

場合によっては進行大腸がんや進行胃がんでもCT検査で分からないことがあります。
しかし、食道がんや胃がん、大腸がんといった消化管のがんは癌全体の3割ほどを占める、頻度の高い癌種です。

そのため、胸腹部のCT検査と、胃カメラや大腸カメラといった内視鏡検査を組み合わせることで、99%以上の癌種のチェックが可能になるのです。
一般のクリニックでCT検査を行っているところは少ないので、その場合は胸部レントゲン検査+腹部エコー検査で代用できます。
腹部エコーは別名、腹部超音波検査ともいい、超音波を使って肝臓や胆のう、膵臓、腎臓といった内臓を主にチェックする検査です。
腹部エコーにかかる時間は5分から10分前後で、費用は3割負担で約1,500円です。
CTよりもコストが1/3以下と安く、検査もベッドサイドですぐできるので、簡便さと経済面ではCTよりも超音波検査に軍配が上がります。

ただし、腹部エコーでは、乳癌などの婦人科系疾患は見ることができないので、婦人科系腫瘍が気になっている場合は、初めからCT検査にしたり、マンモグラフィー(乳房専用のX線検査)や経膣超音波検査で子宮などんをみる精密検査を受けた方がよいでしょう。

癌全体の3割を占める頻度の高い消化管癌でも大腸癌は増加の一途をたどっており、女性の癌死亡の1位、男性の3位になっています。

全身の癌をチェックする上で、大腸は絶対に見逃せない臓器です。
大腸癌をチェックしたい方は、大阪の堺なかむら総合クリニックにお気軽にご相談ください。
2Lの下剤を飲まずに大腸検査ができる下剤を飲まない大腸検査も行っています。

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癌の進行速度:まとめ


いかがでしたでしょうか。今回は、癌の進行速度というテーマでお話しました。
日本人の2人に1人は癌になる時代で、特に40歳をこえると癌のリスクは上がります。
その癌の中でも胃癌や大腸癌といった消化管の癌は3割、肝臓癌や膵臓癌などと合わせると消化器系の癌は6割以上、大半を占めます。
「乳癌や前立腺がん、肺癌を経験したから、消化器系の癌もチェックしたい」「家族や知人が癌になったから自分もチェックしてほしい」という方は、堺なかむら総合クリニックにお気軽にご相談ください。

当院では、午前中だけで下剤をのまずに胃カメラと大腸カメラを同時に行うことができ、食道癌・胃癌・十二指腸癌・結腸癌・直腸癌の5つの癌を一度にチェックできます。是非、ご相談ください。

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「癌のチェックはお任せください!堺なかむら総合クリニックのDr. Takaでした!」