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【強力ポステリザン・ボラザg軟膏】でいぼ痔は治る!

「おしりに痛みや違和感がある」「おしりにはれ・いぼがある」状態でいぼ痔ではないかと不安な方へ。
痔は男女ともに多い身近な病気にもかかわらず、「恥ずかしい」「病院へ行くのはおっくう」と、人知れず悩んだりしますよね。
痔は不快感や痛みを我慢しているうちに悪化してしまう人も少なくありません。
痔は軽度のものであれば薬と生活習慣を整えることで改善することもありますが、やはりクリニックを受診してきちんと治療をうけることが大切です。
今回はなかなか人に聞けない痔のことについて現役女性医師が徹底解説します!
この記事を読めば、痔の基本から治療・予防までしっかり理解できると思います。
それではどうぞ!
(本稿は消化器病専門医の中村孝彦医師・中村玲佳医師が執筆しています)

「つらいけど、相談しづらい痔の悩み。そんな不安を解消します!」

堺なかむら総合クリニック
【肛門科】痔の日帰り手術

鮮血の血便・おしりが痛い!原因は痔?


一般的に言われる痔(じ)とは肛門の病気の総称として使われています。
痔はいぼ痔(痔核)、きれ痔(裂肛)、痔ろうの3種類が三大疾患として知られます。
いぼ痔は、肛門の内側のいぼ痔である内痔核(ないじかく)と肛門の外側のいぼ痔である外痔核(がいじかく)に分類されます。
いぼ痔、きれ痔、痔ろうの3種類のうち、男性・女性ともに最も多いのは、いぼ痔で約50%の頻度です。
特に肛門の内側のいぼ痔である内痔核は、痛みを感じないため気付かないことが多く、突然出血が出たりしておどろいたりします。
痔の症状として代表的なものに、「おしりに痛みがある」「便に血がまじる」「おしりにはれ、いぼがある」「かゆみがある」などがあります。

痔はなぜなる?原因は?


人間は動物と違って、直立二足歩行する生き物です。
そのため、直腸や肛門付近の血管は、重力に逆らって頭の方向に血液を送っており、普段から非常に大きい圧力がかかっています。
そこに、長い時間の座り仕事や立仕事などによって肛門付近での体液のうっ滞、便秘または下痢を繰り返すことなどで肛門部に強い負担がかかります。
肛門に強い負担がかかると、肛門付近の組織がうっ血して血行障害が起こり、その部分でいぼ痔を発症します。
また、慢性的に便秘の方では、排便時に強く長くいきむことで肛門付近のうっ血を起こしやすいだけでなく、水分が吸収されて硬くなってしまった便が肛門を傷つけてしまい、きれ痔を発症することもあります。
他に肛門に負担をかけてしまう場面として、スポーツ時のいきみ、刺激物やアルコールによる下痢、冷えなどが知られています。

いぼ痔・きれ痔・痔ろうの違いを教えて!


これまでご説明した通り、痔にはいぼ状のはれができるいぼ痔、肛門の皮膚が切れるきれ痔、肛門に膿のトンネルができる痔ろうの3種類があります。
いぼ痔には、肛門内側にできる内痔核と、肛門外側にできる外痔核があります。

肛門内側の直腸の組織には知覚神経がないため内痔核では痛みを感じないのですが、肛門の外側(歯状線<しじょうせん>より外)の皮膚部分には知覚神経があるため、外痔核やきれ痔では痛みを感じます。
つまり、痛みの有無で痔の種類と位置が概ねわかるのです。
また、歯状線にある肛門陰窩(こうもんいんか)というポケットに細菌が侵入して感染し、化膿した膿が肛門の内外をつなぐトンネルを作って貫通すると痔ろうになります。

① 内痔核(いぼ痔)
内痔核は、排便時の負荷などによって歯状線より内側の内痔静脈叢がうっ血してできたいぼ状のはれを指します。
歯状線より内側の直腸側の組織には痛みを感じる神経が通っていないことから痛みはなく、出血によって初めて痔に気づく場合も多いです。
排便時に便器が真っ赤になるほど大量の赤い血(鮮血)が出てびっくりすることもあります。
症状が進むと排便時にいぼが肛門の外に出てきたり、炎症などによる痛みを感じたりすることがあります。
② 外痔核(いぼ痔)
外痔核は、肛門部の負荷により歯状線より外側の皮膚部分の静脈叢にうっ血してできた、いぼ状のはれを指します。
肛門外側の皮膚には、痛みを感じる神経が走っているので、外痔核では痛みを感じることが多いです。
外痔核では急性炎症により血栓形成して大きく腫れ上がることがあり、その場合、激痛があります。
③ きれ痔
きれ痔は、下痢便の強い勢いや便秘による硬い便の通過などで、歯状線より外側の肛門の皮膚が切れた状態のことを指します。
きれ痔では一般に強い痛みを伴います。
きれ痔は女性に多いといわれますが、これは、ダイエットなどで食事量を制限して便秘に悩む女性が多いことと関係があるとされています。
このような便秘気味の方では、悪循環によりきれ痔が慢性化して悪化します。
つまり、きれ痔の痛みにより排便を我慢し、便秘がおこります。
その便秘のために便がさらに硬くなり、肛門を傷つけやすくなるという悪循環で、きれ痔がさらに悪化して治りにくくなることがあるのです。
④ 痔ろう
歯状線には肛門陰窩(いんか)というポケットがあります。
肛門陰窩は小さなくぼみなので、通常はここに便が入り込むことはありませんが、下痢をしていると、便が入りやすくなり、肛門腺に大腸菌などの細菌が入り込むことがあります。
細菌が侵入した時に、付近に傷があったり免疫力が弱っていると、感染を起こして化膿し、肛門周囲膿瘍(のうよう)になります。
肛門周囲膿瘍が進行し、肛門の内外をつなぐトンネルができると、痔ろうとなります。

痔になりたくない!予防方法は?


なるべく痔にならないように予防したいですよね。
実は痔の予防は以下にあげるような普段の生活習慣を少し変えるだけで負担はかなり減るのです。

・お風呂は湯船にゆっくりつかる
お風呂は、肛門が清潔になるのはもちろん、おしりが熱で温まることにより肛門付近のうっ血が改善されます。
ポイントは、シャワーでサッと浴びるのではなく湯船にゆっくりつかることです。

・トイレは5分以内
トイレで排便するときは5分以内を目安とし、便が出ないときは無理をせずに切り上げるようにしましょう。
昨今のスマホの普及により、ついついトイレをしながらスマホをみてしまう方はいるかと思いますが、長く粘ってはいけません。
まだ中に便が残っているような気がするかもしれませんが無理に出しきろうとするのは要注意です。
便を出そうと長い時間、強くいきむと肛門に負担がかかり、うっ血や痔核出血につながってしまいます。
便意をもよおしたときに無理なく排便するのが重要です。

・同じ時間に朝食をちゃんととる
朝は朝食をとるで胃結腸反射という反射反応が起こり、最も便意が起こりやすい時間帯です。
そのため朝は毎日同じ時間に起床し朝食をしっかりとることがポイントです。

・極端なダイエットはせずに食事をしっかりとる
極端に食事の量を減らすようなダイエットは危険です。
食事の量が少ないとお通じの体積が増えず、便意が起こりにくく便秘・痔になりやすくなります。

・同じ姿勢を続けない
長時間の立ちっぱなしや座りっぱなしなど、同じ姿勢を続けていると肛門がうっ血しやすくなります。
定期的に姿勢を変えて、休憩時間に歩いたり体操をするなど体を動かすことがポイントです。

いぼ痔(内痔核・外痔核)の結紮手術の方法と費用は?


いぼ痔には内痔核と外痔核がありますが、頻度の多い内痔核の治療から解説します。
内痔核の治療の基本は、食生活や排便習慣などの生活習慣を改善させていく保存療法と薬物療法になります。
薬物療法としては外用薬(軟膏や座薬)で、痛み・腫れ・出血などを抑え、内服薬(錠剤)で便を柔らかくし、炎症を抑えます。
保存療法や薬物療法を行っても出血がひどい場合や、脱出によって日常生活に支障をきたす場合は、外来手術を行います。
外来手術を必要とするのは、いぼ痔の患者さんの1~2割程度です。
痔核がさらに悪化し、肛門から脱出するようになった場合は結紮手術を行います。
結紮手術はゴム輪結紮器という特殊な器具を使って、内痔核の根元に小さな輪ゴムをはめ込みます。
内痔核(いぼ痔)の根元にはめ込まれた輪ゴムは徐々に、その根元を締めつけていき、1〜2週間後には痔核がとれるという治療方法です。
この間、患者さんはふだん通りの生活を送ることができますし、痔核は輪ゴムとともに、一週間ほどでとれて便と一緒に排世されます。
結紮手術は外来で保険適用で日帰り手術ができ、費用は3割負担で4,000~5,000円程度です。
結紮手術は歯状線より上にできる内痔核のみが脱出している場合に行う治療です。
痛み強い外痔核の治療は、局所麻酔下に血栓を取り除く日帰り手術を行いますが、痛みがない場合は保存療法や薬物療法で対応します。

きれ痔の治療は保存療法と切開術!


きれ痔の治療は原因となる便秘や下痢を防ぎ、傷を治す保存療法が基本となります。
肛門括約筋が炎症を起こして肛門が狭くなってしまった場合には手術を行いますが、手術を必要とするのは、裂肛の患者さんの1割程度です。
保存的な治療を行っても、排便時の痛みがひどいときや、一度治っても再発を繰り返すことで、裂肛が肛門狭窄になった場合は、肛門部の狭くなった部分を切開する内括約筋側方皮下切開術を行います。
内括約筋側方皮下切開術は局所麻酔を行った後、肛門の周りの皮膚から、粘膜の下へとメスを挿入していきます。
そして狭くなった内括約筋の一部を切開して肛門を拡張し、病変部がある場合にはその病変部だけを取り除く手術方法です。

痔ろう(肛門周囲膿瘍)の治療は切開排膿術!


痔ろうの治療としては、肛門周囲膿瘍という膿が溜まっている状態かどうかが最大のポイントになります。
肛門周囲膿瘍の所見があったら、皮膚を切開して溜まった膿を出す切開排膿術を行う必要があります。
肛門周囲の皮膚、あるいは直腸肛門内の粘膜に切開を加え、溜まった膿を外に排出し、十分に膿の出口を作った後、抗生物質や鎮痛剤を投与します。
瘻管(じかん)という管が残った場合は、根治手術を行う必要があります。
しかし、手術が必要なのは、痔ろうの患者さんの半分以下です。

【強力ポステリザン軟膏・ボラザg軟膏】でいぼ痔は治る!


痔の薬には大きく分けて外用薬と内服薬があります。
外用薬には主に塗り薬である軟膏と、坐薬の2種類があります。
痔の治療では、軟膏・座薬・内服薬を痔の種類や症状に合わせて使い分けています。
軟膏や座薬はいずれも痔の炎症を抑えたり、創の治りを促進する作用がありますが、「ステロイドが入っているもの」と「入っていないもの」と大きく2種類にわけられます。
では具体的に軟膏と座薬の使い分けと代表的な薬について紹介します。

♦軟膏♦
軟膏は主に肛門の外側・肛門付近のいぼ痔、きれ痔に使用します。
痛い部分、腫れている部分に直接軟膏をぬるか、ガーゼなどに軟膏をのばして使います。
代表的な軟膏薬に、ボラザG軟膏、強力ポステリザン軟膏、ネリプロクト軟膏があり、この順にステロイド作用が強くなります。
・ボラザG軟膏【非ステロイド】
ボラザG軟膏は肛門部の腫れを改善する成分と、鎮痛作用をもつ局所麻酔薬を合わせた製剤です。
・強力ポステリザン軟膏【弱ステロイド】
強力ポステリザン軟膏は、大腸菌死菌浮遊菌液という感染症を防ぎ創傷部の治癒を促進する成分に、抗炎症効果のある弱ステロイドを配合した製剤です。
・ネリプロクト軟膏【強ステロイド】
ネリプロクト軟膏は、抗炎症作用をもつ強ステロイドと、鎮痛作用をもつ局所麻酔薬を合わせた製剤です。

♦座薬(坐剤)♦
座薬は主に肛門内側のいぼ痔やきれ痔に対して、肛門内に挿入して使います。
肛門内側に入ると体温ですばやく溶けて拡がり、患部に直接作用します。
座薬に含まれる油脂性基剤が傷ついた患部を保護し、スムーズな排便をたすけます。
・ヘルミチンS【止血用】
血管収縮作用のあるビスマスと、局所麻酔薬などによる鎮痛作用を合わせた製剤です。
・ボラザG坐剤【非ステロイド】
ボラザG軟膏を坐薬にしたもので、効用はボラザG軟膏と同様です。
・ポステリザンF【弱ステロイド】
強力ポステリザン軟膏を坐薬にしたもので、強力ポステリザン軟膏と同じ効用です。

♦内服薬♦
痔の治療に用いる内服薬には、痔の炎症を抑える消炎酵素剤や、便を軟らかくする緩下剤があります。
代表的な痔の内服薬としては、ヘモナーゼ配合錠や乙字湯があります。
・ヘモナーゼ配合錠
ヘモナーゼ配合錠は、痔核の抗炎症作用のある消炎酵素剤と、血流改善・創部治癒効果のあるビタミンEの合剤です。 
・乙字湯
乙字湯は痔核や切れ痔の治療に用いる漢方薬で、便が硬くて便秘ぎみの方に使用します。

ボラザg軟膏は長期使用(使いすぎ)でも大丈夫?


痔の保存療法の原則は、ステロイドが入っていない軟膏や座薬を1-2か月使用し、その間に緩下剤や排便習慣を見直すことです。
ここでは、いぼ痔(外痔核・内痔核)と、きれ痔、痔ろうのそれぞれの症状や程度に応じた薬の使い分けをご紹介します。

●外痔核(いぼ痔)の治療薬
外痔核の症状としては、突然、肛門の外側に、大豆大の腫脹が起こり、ズキズキ痛むというものです。
症状の程度に応じてボラザG軟膏、強力ポステリザン軟膏、ネリプロクト軟膏を使用します。
●内痔核(いぼ痔)の治療薬
内痔核の程度の分類として、以下のゴリガー分類が知られています。
Ⅰ度 出血が主な症状で肛門の外に脱出しない
Ⅱ度 排便時に脱出するが、排便後自然に戻る
Ⅲ度 脱出後、手で押し込まないと戻らない
Ⅳ度 排便と無関係に常時脱出している

ここでは、内痔核の程度別の治療薬の使い分けをご紹介します。
・軽症(Ⅰ度Ⅱ度)の内痔核の治療薬
ボラザG坐剤と、抗炎症作用・血流改善作用のある内服のヘモナーゼ配合錠を1-2カ月併用します。
・脱肛型(Ⅲ度)の内痔核の治療薬
ボラザG坐剤+ポステリザン軟膏併用と、ヘモナーゼ配合錠を1-2カ月併用します。
程度によっては、結紮術などの外科処置を行うこともあります。
ゴリガー分類Ⅳ度以上になると外科手術が検討されます。
・炎症や痛みが強い内痔核の治療薬
ボラザG坐剤+ネリプロクト軟膏と、ヘモナーゼ配合錠を最大14日間使用します。
・出血症状の強い内痔核の治療薬
血管収縮作用による止血効果をもつヘルミチンS坐剤+ポステリザン軟膏を14日間程度投与。
※ネリプロクト軟膏などの強ステロイドの注意点
ステロイドは痔の炎症を抑えるのに便利な薬ですが、漫然と長期に使い続けると感染しやすくなったり、皮膚が過敏症になったりと副作用も強く起こります。

また、患部が赤く腫れて熱っぽく化膿しているような場合にステロイドを使用すると症状が悪化します。
●きれ痔(裂肛)の治療薬
・急性裂肛
ズキズキ痛い急性裂肛に対しては、ボラザG軟膏+強力ポステリザン軟膏と、便を柔らかくする目的で内服の酸化マグネシウムやリンゼスを併用します。
・慢性裂肛
裂肛が長期化し肛門ポリープや見張りイボを伴うものを慢性裂肛とよびます。
症状としては、排便後に長くひびくような痛みが特徴です。
治療薬はボラザG軟膏を長期で使用し、痛みが強いときはボルタレン座薬をスポットで使用します。

●痔ろう(あな痔)の治療薬
・痔ろう
肛門周囲からじくじくと膿が出るのが痔ろうの特徴です。
治療薬としては、抗生剤であるオーグメンチン・サワシリンの内服+ゲンタシン軟膏局所塗布+外科処置(二次口切開)を行います。
・肛門周囲膿瘍
肛門周囲が赤く腫れて熱っぽさがあり激しく痛むのが肛門周囲膿瘍の特徴です。
治療薬としては、膿瘍切開処置後にオーグメンチン・サワシリンの内服+ゲンタシン軟膏局所塗布を行います。

 

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